数年前から、「お宅のサービスは、どんなパッションプロジェクトを提供していますか」という問い合わせが来るようになりました。
私が焦点を置くのは、生徒さんの自己分析。その結果をもとに、大学リストの作成やエッセイのトピック探しのお手伝いをします。これまで気づけなかった自分の強みや大切にしていること(価値観)をブレーンストーミングで洗い出し、大学出願に必要なストーリー作りのサポートをするのです。
生徒さんが重視している活動が、実はパッションプロジェクトだった例はたくさんあります。学校で風邪が流行するとき、ドアノブがもっとも汚染されやすいことに着目し、ドアノブに塗る抗菌剤を開発した生徒、英語の環境に不慣れだったころの自分を思い出し、ハイスクールでバイリンガルの生徒を募集し、読書バディとして小学校のENLクラスに送り出すチームを編成した生徒など、毎年様々な形のパッションに出会います。
パッションは、生徒自身の価値観や行動力の表れともいえます。ただ、大学出願に際しては、そのプロジェクトが対外的にどのようなインパクトがあったのかを示す必要はあります。自己満足の趣味なのか、社会を変えたいという意欲の表れなのか、数値で示せばはっきりするでしょう。
近年、Pay to Play(料金を払ってパッションプロジェクトや研究に参加する)が難関大学突破のカギと言われてきました。残念なことに、自分の内面からあふれ出すパッションではないのに既製のプロジェクトにお金を払い、結局「夏休みは○○教授のもとで○○をしました」と表面的な課外活動で終わる生徒も少なくありません。参加するなら、「だから何?」に答えられる活動かどうかが判断基準になります。
生徒の心のなかに燃えているパッションが本物かどうかは、実は一つの活動だけでは判断できません。大学アドミッションが見ているのは、出願書類全体の整合性です。成績、推薦状、これまでの課外活動、エッセイ——それらすべてが「この生徒はこういう人間だ」という一貫したストーリーを裏付けているかどうかが問われます。夏だけ参加した研究プログラムが、それまでの教科選択や活動歴とかけ離れていれば、いくら立派な肩書きがあっても説得力を持ちません。
以前は、「あれも、これも」とできるだけ多くの経験をActivitiesリストに詰め込む出願書類がよく見られました。しかし今求められているのは、量ではなく一貫性です。パッションプロジェクトも例外ではなく、生徒自身のストーリーのなかでどう位置づけるかを戦略的に考える必要があります。
最近まで「NPOを立ち上げないとアイビーには合格できない」という都市伝説がありました。その前は、「東南アジアに行って環境問題に取り組む」など、海外ボランティア活動が流行しました。Pay to Playもまた、こうした流行の最新版にすぎません。一人の受験生が使って合格したからといって、あなたが同じ方法で合格するとは限りません。
パッションプロジェクトは自分のなかから自然発生的に生まれてきます。心のなかの小さな声に耳を傾け、行動を起こすことも、アメリカの大学出願には重要なことなのです。