GPA、SATスコアともに最高点で学年1位の成績。学校のサッカーチームではキャプテンをしながら、週末は恵まれない子たちにサッカーを教えるボランティア団体を設立して活動。先生からの評判もよく、推薦状は申し分なかった。
こういう非の打ちどころのない生徒でも、超難関大学の場合は合格させないことがあります。
それは大学側の事情のためです。
教育機関である大学は、ビジネス組織でもあります。収入と支出のバランスをとる必要がありますし、他大学との差別化を図る必要もあります。
組織としてどんな方向を目指すか、優先すべき事項は何かをまとめたものが、Institutional priorities(大学組織としての優先事)です。
この優先事項に沿って、合格させる生徒の特徴が決められ、その特徴はアドミッション・サイクルごとに変わる可能性があります。
例えば、「学生のダイバーシティーを高める」ことをその年の優先事項にする大学があったとします。
でもダイバーシティの定義によって、合格させたい生徒のプロフィールが変わってきます。
「うちの大学にはアメリカ生まれの生徒が多すぎるから、留学生を増やそう」という大学もあれば、「うちの大学には中西部生まれの生徒が多すぎるから、南部からの生徒を増やそう」という大学もあります。
これって、生徒にはどうすることもできない部分ですよね。
あるいは、「卒業生から、ビーチバレー部を作れば寄付金を出すと言われている。運動部のダイバーシティを見直そう」と考える大学もあるでしょう。
この生徒がサッカーでなくビーチバレーをしていたら、合格の可能性は高まったかもしれません。
ある大学に合格しなかったのは、あなたのせいではありません。大学のほうに、別の生徒を取らざるを得ない事情があったのです。