今年4月、イェール大学がミッションステートメントの変更を発表し、話題になりました。実はこの変更、大学で真剣に学びたい生徒にとっては、かなりよい知らせだと言えます。
ミッションステートメントは大学の教育理念、つまりどんな学生を世に送り出したいかを述べたものです。「対象は在校生だけでしょ」と思う人がいるかもしれません。でも「どんな生徒を受け入れたいか」を明示するアドミッションポリシーは、ミッションステートメントを反映させたものなので、受験生にも影響は及びます。
では、何がどう変わったから「大学で学問をしたい生徒には追い風」になるのでしょう。これまでイェール大学はミッションに「世界をより良くする」「リーダーを育てる」をうたっていましたが、新ミッションは「知識を創り、広め、守る」ことが存在意義だとしています。
今回の変更は、アメリカ社会のもつ高等教育に対する意識の変化に対応するものだと言われています。世論調査機関Gallupの調査によると、アメリカでは大学に対する信頼感が過去10年間で大幅に低下しています。学費の高騰や、卒業生の子どもを優遇する「レガシー」制度など不透明なアドミッションポリシーが、その主な要因とされています。新たなミッションステートメントの発表で、イェール大学は高度な教育と研究という教育の根幹に立ち戻ったともいえます。
さて、イェールのアドミッション対策として考慮すべきことは何でしょう。ひとつ言えるのは、「世界を変えたい」型のエッセイはあまり重要視されなくなる可能性です。「世界を変えたい」と思うのであれば、それはどんな知的好奇心や探究心から生まれたのか、その思いをハイスクールでの授業や課外活動を通して具現化しようとしているのか、具体例を挙げて語る必要があります。つまり「エビデンス」のある主張がますます重要性を帯びてくるといえます。
これまで学業に真剣に取り組み、学力を高めてきた生徒なら、慌てる必要はありません。本物の情熱は、どの時代でも評価されるからです。「なぜこれを学びたいのか」「何を知りたいのか」を言語化することが武器になりますし、「リーダーシップ」や「社会貢献」はその成果物だともいえます。
今後は、他の大学もイェールに追随する可能性があります。大学のミッションがどう変わろうと、まずは知らないことを知る楽しさをみつけ、探究学習や読書などで知的好奇心をはぐくみましょう。