入学率の低下は大学側だけの問題?

2026年度アドミッションサイクルが終わった6月、ニューヨーク北部の名門大学シラキュース大学のJ. マイケル・ヘイニー学長が教職員に、「秋入学の学生数が予定に満たなかった」と伝えました。同大学は、学部生からの授業料が主要な収入源であるため、財政赤字に陥ったというのです。実はこの発表に先立つ今年の春、すでに学生数の少ない93のプログラムの廃止や、勤続35年以上の教員などを対象とした早期退職制度の導入が発表されており、財政面の引き締めはすでに始まっていました。

そもそも18歳の人口が今年から減り始めたこと、学生ビザの審査が厳格化するなどの影響で学費を全額払ってくれる留学生が米国の大学を敬遠し始めたことなどのほか、「どの学生が本当にうちの大学に入学してくれるのか読めない」ことがシラキュース大学の学生数不足の原因であるようです。

一方、カマラ・ハリス前副大統領の母校で全米屈指の歴史的黒人大学(HBCU)であるハワード大学は、502名の入学予定者の入学許可を取り消したと発表し、メディアが騒然となりました。授業料支払い期限までに支払いがなかったことが、入学許可取り消しにつながったといいます。その後、授業料の支払い完了やスカラーシップなどを証明できた200名ほどの入学許可が復活されたものの、残り300名近くの生徒たちは秋からの進学先探しに奔走しています。

ハワード大学が授業料支払いの期限にこだわったのは、昨年の入学者の不透明さが教員の採用や教室の配置などに混乱が生じたことに学んだ結果だと、ウェイン・フレデリック学長は説明します。

入学者をカットした大学と入学生不足の大学。両極端な話に聞こえますが、問題の根底はつながっています。出願のデジタル化によって生徒ひとりが申し込む大学の数が増えたことは、大学側にしてみれば入学許可を出しても来ない生徒が増えることになります。シラキュースやハワードのようなブランド力の高い名門校ですら、本当に入学してくれる生徒の確保、つまりyield rate (入学率)の改善に苦労する時代がやって来たわけです。

次の記事では、このような状況にあるアメリカで大学進学の準備をするときに知っておくべきことをお話しする予定です。

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