コロナ禍で、多くの大学がSATやACTなどStandardized test(共通テスト)の提出をオプショナルとしました。それ以前から、共通テストは金持ちや英語を話す家庭の子どもに有利だという理由で、廃止を求める動きがあり、多くの大学がテスト以外の方法を検討していました。コロナ禍の最中、共通テストを「とりあえず求めない」ことにしたのは、なくしてどうなるかの実験だったわけです。
では共通テストオプショナルにした超難関校には、どんな変化があったのでしょう。まず、「試しに出願してみよう」と、志願者数が激増したことが挙げられます。そしてもう一つ意外なことに、提供されるAPコースが少なく、大学進学カウンセリングも十分に行われていない、要するに進学校でないハイスクールに通う低所得家庭の生徒たちは、唯一強みとなるはずの共通テストのスコアが考慮されないことで、合格率が低くなったことが分かったのです。
批判が集まる共通テストですが、恵まれない環境にありながら優秀なスコアをたたき出す生徒を拾うため、ホリスティック・アプローチ(願書をくまなくチェックするアプローチ)を採用する超難関大学が、共通テストの復活を次々に発表しています。2024年に入り、アイビーリーグのDartmouth、Yaleに続き、Brown大学もテストスコア提出を再び求める方向に舵を切りました。影響を受けるのは、2025年夏にハイスクールを卒業する学年からです。